NEW: ワークショップリポート(2024年開催)

ピンポイント絵本コンペご参加のみなさまへ


いつもピンポイント絵本コンペにご参加いただきありがとうございます。
ここ数年ワークショップへの参加希望者が増加傾向にあり、今年度からオンライン予約システムを導入しました。審査結果に関係なく、希望される方どなたでも申し込みができることを大切にしている一方、僅差で予約できずに残念だったといった声も少なからずありましたので、また来年度は予約方法や参加条件を見直すかもしれません。下記、今年のワークショップの様子をお伝えしますので、来年度以降のご参考にしていただければ幸いです。

榎一憲さんのワークショップは今年度が最後となりました。榎さんは審査の段階からそれぞれの応募作品ひとつひとつの印象や評価をメモをとっていて(ギャラリースタッフは閻魔帳と呼んでいる)、過去の応募作品についてもご自身の講評を記録されています。数年連続でワークショップを受講されている方には、細やかで行き届いたアドバイスがあったのではないでしょうか。
絵本を制作する際、みなさんは身近な方々に読んでもらったり、アドバイスを求めたりすることはありますか?よく見られる傾向ですが、作者本人は分かっているつもりで省略した部分が、読み手に伝わっていない為に、絵本がひとりよがりのものになってしまう場合があります。不完全な部分を榎さんが指摘をしていくと、伝わりづらい表現や、作者自身も気づかなかった矛盾点が明確になっていきます。絵の中での人物の立ち位置、空間や時間の設定、モチーフの描写、ストーリーに破綻はないか、最後にもう一度見つめ直す時間をとってみてください。

今年度より審査員をつとめる山縣彩さん。

前半では、ご自身の経験をもとに絵本づくり全般についての話をされました。出版社の営業部からキャリアをスタートされた山縣さん、新人時代は書店を回っていたそうです。どんな本が読まれているのかを知ることは絵本の作り手にとって大事なことです。山縣さんは客観的な視点を持ちつつも、感覚を研ぎ澄ませて魅力ある絵本を嗅ぎ分けられている印象でした。面白い表現をみつけたら、「面白いね!いいね!」と参加者の背中を押すような声がけもありました。一方で、これは榎さんの講評とも共通することですが、絵本のなかでの矛盾点や違和感などは、鋭く指摘をしていきます。読者をおはなしの世界に引っ張っていかなければならないのに、余計なストーリーは入っていたり絵が世界観にそぐわないところはありませんか?しっかり見極めければなりません。来年度のコンペでも引き続き審査をしていただきますので、ブラッシュアップした作品もお待ちしております。

グラフィックデザイナーの高橋雅之さんの絵本レクチャーのワークショップは、今年が2回目でした。

前半は、高橋さんがデザインを手掛けられた近刊絵本のスライドを見ながら、絵本作りについてデザイナーの視点から説明をしてもらいました。
『ほんやねこ』(作絵・石川えりこ、講談社刊)では、表紙から中のテキストのデザイン、絵の構図の詳細までを、作者の石川さんと高橋さんが対話しながら作り上げられたそうです。市販の絵本を普段は完成された形でしか目にすることはありませんが、こうして絵本ができるまでの過程をみせてもらえると一冊ができあがるまでに沢山の試行錯誤があることが窺えて、とても勉強になりました。

後半は、参加者に実技課題に取り組んでもらいました。3つの異なるタイプの文章を用意し、それぞれ自分で選んだ文章をイメージ画として描き、表紙のデザインを考えてもらうという課題です。昨年は課題に取り組む時間が足りなかったので出来上がった課題をオンラインで発表しましたが、今回はギリギリ時間内に会場で発表することができました。同じ文章でも、全く違ったイメージで描き出されていて個性もバラバラ。それぞれが何を意図して描いたのか、他人の構想を聞くのも、高橋さんの講評を聞くのも参考になります。参加者から好評のこの課題。来年もぜひ続けてご参加いただけたら嬉しいです。

来年度の第26回ピンポイント絵本コンペでは、あらたに小学館編集者の村松茂(むらまつ・しげる)さんを審査員にお迎えします。

皆さまのご参加をお待ちしております。

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