第21回ピンポイント絵本コンペ結果発表

21回ピンポイント絵本コンペ結果発表

審査員: 櫻井友貴/土井章史/川端誠/西須由紀

応募数192作品から6作品が受賞いたしました。コロナウイルスによる影響下にありましたが第21回ピンポイント絵本コンペの審査を無事にできましたこと大変嬉しく思います。直前の搬入受付方法の変更等、ご協力いただきました参加者のみなさま、また臨機応変にご対応いただいた審査員のみなさまのご協力あってのことと感謝申し上げます。ありがとうございました。

受賞展は8月3日月曜日から3週間を予定しております。安心してご覧いただけますよう、会期を変更しての開催です。ぜひご高覧くださいませ。

第21回ピンポイント絵本コンペ受賞展 2020年8月3日(月)~8月22日(土) 予定 こちら

12:00~19:00初日は14:00~19:00 日曜休み

最優秀賞 1名
『うみのハナ』  スケノ アズサ
優秀賞 2名
『まんじゅうやのてるこさん』    よこみちけいこ
『くもりぞらから こんにちは』   坪井かなお
入選 3名
『しりとり きんちゃく』   玉田美知子
『ぐるぐる ぐるめたぬきさん』   山崎 由貴
『ホムリトさんとプートン』   しろうず さき

第3次選考通過者までの発表はこちらから

審査員講評

今回はコロナウィルスの渦中、大変な時期に多数のご応募をありがとうございました。21年の歩みを思い返しますと、人々を不安や恐怖に落し入れる社会的事件が起こった年や大震災の年など大変な時期が度々ありました。不安な心持ちでいると楽しいことを思い描いたり、前向きな行動に躊躇してしまうことがあります。感情が人を動かすのですから当たり前のことです。しかしながら、今回の応募作はかつてない程の充実した作品に溢れていました。みなさんの勇気と努力に心から感謝するとともに、あらためて絵本の力を感じています。こんな時だからこそ、幼いこどもたちが絵本を手に取り、笑みを浮かべ、穏やかな気持ちになっていって欲しいです。

(審査員、左から土井章史、櫻井友貴、川端誠、西須由紀)

今回の受賞作は原画が魅力的なものが多かった。最優秀賞『うみのハナ』は、豊かな表現力で審査員を唸らせた。徹底した取材に基づいて描かれており、場面ごとに掬いとられた情景がもたらす余韻は圧巻。優秀賞はユーモアセンスが光る2作品が受賞。最優秀と僅差『くもりぞらからこんにちは』は、空からにゅっと現れた“くものて”が繰り出す笑いが心地よく、強い作家性を感じる意欲作。『まんじゅうやのてるこさん』は、わが道をゆく主人公のキャラクターが秀逸で、とにかくばかばかしくて笑える作品。入賞『ホムリトさんとプートン』は、展開はもうひとひねりほしいところだが、丁寧に作りこまれた立体的な原画が印象深い。同入選『しりとりきんちゃく』はきんちゃくの布感を工夫し、しりとりというありがちなテーマを今までなかった視点で展開させた。同入選『ぐるぐるぐるめたぬきさん』は、やや詰め込み過ぎだが、一貫して真摯に表現している姿勢に好感がもてた。【櫻井友貴】

僕が注目しようとしたのは、中央の綴じ目のノドが理解出来ているかということと、裏表紙の絵です。どちらも目立ちませんが、絵本製作では重要なポイントなのです。ところが審査をしていて、ほとんどの人がノドの重要性に気付いていないので、これは無視することしました。中央に大切なものを描いてノドでばっさりきれていてもOKです(ほんとはダメ)。絵本はどう終わらせようかと、オチからドラマを組み立てていくものです。ですからホームドラマで始まって、ナンセンスになったり、ファンタジーになったり、またはその逆があったり、夢オチで終わったりする作品が多くありました。1作品はひとつのドラマなので、終わりの一点に向けてちらばらないように作りましょう(なので裏表紙がだいじ)。絵本の絵は雰囲気を描くのではなく「状況」を描きます。作者の描きこむ全てに理由が必要なのです。この点もよく見させてもらいました。最後は読者をどう楽しませてやろうかという、作った人の人柄を想像して選びました。【川端誠】

こういう審査とか、ワークショップをしていていつも思うことは、作家側は作家の個性を誇りに思いそれを主張すべきかどうか、ということ。そこに商品価値を見出すことができるか。私は大人になって長新太の作家性にほれて絵本の世界に入ったのだが、じつはそれが作家側的には、大きなハードルになるのではないか? 理想的な読者は当然ながら子どもたちだと私は思う。子どもは作家性なんて気にしない。子どもの体を揺るがすほどのおもしろさがあれば、何度も何度も本棚から持ってきて「読んで読んで」と彼らはせがむのだ。編集者として作りたいのはこういう絵本だ。作家性を守ることは大人、作家側の価値観では、かっこよく見えるが、絵本の世界では通用しないかもしれない。ただただ、「どうだ!おもしろいだろう!」と子どもに見せびらかすような、心意気がほしい。作家性なんていくら振りほどいても、いやらしくくっついてくるから気にすることなんかない。【土井章史】

応募作全体の傾向としては、ファンタジー、言葉あそび、ナンセンスなどが目立ちました。不思議な力(魔法?)で物語が展開していく作品が多いのも特徴でした。子どもたちの想像力は果てしないものがありますから、アニミズム(世の中すべてのものに霊が宿る)を使い、ぬいぐるみの人形や日常の道具などに表情や感情をもたせて現実世界とのはざまで遊びます。絵本の中で、魔法は便利で万能なツールですが、よくよく考えぬいて使わないと薄っぺらなファンタジーになってしまう危険が潜んでいます。言葉あそびは、ことばの選択が重要なファクターになります。勢いだけで作らずに構成をよく考えましょう。ナンセンスは、長新太さんや井上洋介さんら先人たちの偉業に近づくには、もっともっと頭をやわらかく、気持ちを緩めて、果敢に挑んで欲しいです。明るい未来は、優れた絵本がどれほど生まれるかに架かっていると思います。入賞者はこのチャンスを生かし、出版につなげてください。惜しくも選外だった人はさらなる力をつけて、次に挑んでください。待っています!【西須由紀】

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