ワークショップリポート 2018  絵本レクチャー&講評
レポート: 松尾学さん、松尾恵美子さん(第19回絵本コンペ参加者)

A-1 絵本講評 講師:いとうひろし 氏

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いとうさんの講評会は、参加者が自分の作品を通して表現したかったことや工夫した点などを、紙に書き出す作業からスタートしました。
一人ずつ作品の読み聞かせを行った後、書き出した内容を発表し、いとうさんから講評していただきます。

講評では、発表された作者のねらいが作品の中で生かされているかを確認しながら、より良い作品を作っていくために必要な考え方と取り組み方を教えて下さいました。
表現が表面的にならないように、世界観や構成を考え抜くことの重要さを繰り返し話され、そのためには、描きたいテーマを一つに絞り込んで世界を組み立てた上で、何度もその世界を訪れながら重層的に作り上げていくことが大切だと話されていました。

絵本の絵で大切なことやディフォルメの方法、物語の多様なあり方、優れた絵本の基準、構成の学び方や推敲の方法など、話題は多岐にわたり、講評終了後も時間の許すまで参加者の質問に熱心に答えて下さいました。

講評の中で、いとうさんが話された、「絵本で見せるのは絵でも言葉でも描いていないもの」、「絵本を作るとは絵本的な目で世の中を見続けること。普通の人が見過ごすことを見ようとすることは、疲れるけれど面白い」という言葉が、特に心に残りました。

A-2 絵本講評 講師:櫻井友貴 氏


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1日目のいとうさんは「私ならどう表現するか」という作家の観点からの講評でしたが、2日目の櫻井さんは「読者はどう受け取るか」という編集者の観点からの講評でした。
参加者による読み聞かせの後、事前に書いてきて下さった感想や気になった点を、一人ひとり丁寧に伝えていただきます。

講評では、読者として作品世界の内側に入り込む中で感じた不自然な設定や展開、面白かった点などを細かく指摘して下さり、どのように工夫すれば読者に伝わりやすく興味を惹きつけることができるのかを、具体的にアドバイスして下さいました。

「絵本の顔」となる表紙が魅力的か?テーマの切り口が新鮮か?など、たくさんの注意点があげられ、「作者の都合で無理に展開させないこと」を何度も強調されました。
発想を重視し過ぎると展開に無理が生じるので、ラフの段階で様々な枝を考えて何度も修正を行い、発想を展開で転がしていくことが大切と話されていました。

講評会後半では、自分の作品に帯を作るワークショップを行いました。
作品の「魅力」や「売り」を表すキャッチコピーを紙に書き、作品に巻いて発表します。
たくさんの力作が発表された結果、登場人物の対比をシンプルな言葉で表現したインパクトのある作品が優勝しました。

A-3 絵本講評 講師:堀内日出登巳 氏


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堀内さんの講評会では、参加者による読み聞かせの後、その作品の面白いところや伸ばしてほしい良いところを必ず挙げられ、もっと良い作品にするにはどのようなアプローチや工夫が必要かを、出版された絵本の実例を交えながら具体的に話して下さいました。

講評では、文と絵がお互いに足りないところを補い合う緊張感のある関係になっていること、登場するキャラクターや題材の特性を活かした上で「ハッ」とさせる+αがあること、新鮮な着眼点や面白い着想があること、繰り返し読んでも飽きない仕掛け・フック・読後感があることなどが重要だと話されていました。

講評会後半では、絵本のタイトルを考え、表紙を描くワークショップを行いました。
参加者全員がランダムに書いた単語から自由な組み合わせでたくさんのタイトルを作り、その内の一つから表紙をイメージして描きあげます。

堀内さんは、タイトルは「当たり前ではなく、内容を端的に表し、注意をひくこと」が、表紙は「説明し過ぎずに中を想像させること」が大切と話され、好例として絵本「おばけのきもだめし」を紹介されました。
最後の発表会では、意表をついた作品の数々に何度も笑いが起こりながら、タイトルと絵の絶妙なギャップが想像力を刺激する作品が優勝しました。