ワークショップリポート 2016  絵本レクチャー&講評
レポート:塩原理恵さん(第17回絵本コンペ参加者)

A-1 絵本レクチャー 中川ひろたかさん

ワークショップでの絵本レクチャーの内容は、参加者が1冊ずつ持ち寄った中川さん著作の絵本を中川さんご自身に読んでいただき、
読み聞かせをしたそれぞれの絵本の制作工程や制作秘話を解説していただき、さらに、中川さんが絵本作家になられるまでの経緯から現在に至るまでのエピソード等を、笑いを交えながら楽しくお話してていただくという形で進行しました。

今まで自分で何度も読んでいる絵本でも、中川さんご自身に読んで頂くことによって、より一層の可笑しみや高揚感、安心感や心地良さがギャラリー全体に広がっていき、新鮮な感動があるように感じました。

解説の部分については、絵本が誕生するまでの思わず笑ってしまうような楽しいエピソードが語られつつも、創作する上での大切なヒントになるような言葉も多く、随所でハッとさせられました。例えば、絵本は映像(絵)で見せるものであり、絵本のテキストは映画の脚本のようなものである、と考えているとのお話があり、非常に参考になりました。

また、中川さんがテキストを作られるときは、読み手として想定する子どもの年齢になりきる、というお話も大変興味深かったです。
これは単に子どもの頃の記憶を思い出すということや単純に目線を子どものレベルまで下げるということでもなく、もっと感覚的なものであり、この感覚を獲得するには訓練が必要とのことでした。

そのほか、絵本と児童文学の違いについての話題では、絵本の特徴は映像文化であり、お話が展開していきシーンが次々に変わっていく面白さがあること、ページをめくる楽しさがあること等を話していただき、改めて絵本ならではの読み手の視点というものを考えることができました。

P8192019.jpgP8192022.jpg


A-2 絵本講評 堀内日出登巳さん

堀内さんの絵本講評の回では、参加者それぞれが以前ピンポイントギャラリーのコンペに出した絵本作品を持ち寄って全員の前で読み、堀内さんに講評していただくという形で進行しました。

講評では、それぞれの作品の良かった点や具体的な改善点などをご指摘いただきました。
他の参加者に対する講評でも、自分の作品にも当てはまるようなアドバイスが多く、大変参考になりました。

例えば、背景をきちんと描くことの利点や、テキストに書いた情報だけをそのまま絵で表さないようにすることの大切さ、
更にはタイトルを練ることの重要性等について、とても勉強になりました。また、お話には必ず強烈なラストが必要かというとそうでもなく、ラストに至るまでの途中の部分が大事なのでは、とのことでした。特に印象的であったのは、自分が描きたいものを持つこと、自分だけの世界、自分にしか創作できない世界であり、それが作家性というものではないか、というお話でした。

最後に、堀内さんがひとつのキーワード(例えば、「春」「牛」など)を挙げ、それについて参加者全員が次々にその言葉に関するイメージで、なおかつ、なるべく安易に連想できないものを出してみる、というセッションを行いました。
こうして、多数出たイメージからオリジナリティのある物語へ膨らますことができそうなものを堀内さんが選んでいきました。これは、創作のためのアイディアの出し方としてすぐにでも使うことができる実践的な方法だと感じました。また、独自のイマジネーションを広げるための訓練にもなると思いました。
写真 2016-08-20 16 54 54.jpg写真 2016-08-20 16 54 58.jpg


A-3 絵本講評 若月眞知子さん

若月さんの絵本講評の回でも、前日同様、参加者による自作応募作品の読み聞かせの後、若月さんにそれぞれ講評していただくというスタイルで進行しました。

読み手が絵本を読んでいく上で感じる違和感や不自然さについてご指摘いただくことが多く、物語の辻褄が合っているか、お話の設定に曖昧さはないか、ラストへ繋げるために都合の良い物語展開になっていないか等、最後まで破綻のないようなお話になるように構成することの大切さを教えていただきました。また、タイトルを工夫することや明快にすることの大切さ、表紙だけではなく最初の見開きの絵の重要性、更には店頭においたときに作品がキャッチーであることの必要性についても語っていただきました。

続いて、去年ピンポイントギャラリーのコンペで大賞を取られたはせがわ はっちさんの絵本『さらじいさん』についての解説もしていただきました。『さらじいさん』がブロンズ新社から出版が決定したことに伴い出版に向けてコンペの出品バージョンから改良されたとのことで、それはどのような道のりであったのか、とても細かく説明してくださいました。多くの作品が出版が決まってから実際に出版される作品になるまでだいたい1年はかかるとのことで、絵本作家志望の私としては胸が熱くなるようなお話でした。『さらじいさん』のコンペ出品当時のものと実際に出版予定のものとを比較して解説していただき、同じ作品でも細部を練っていくことで作品全体の印象が変わるということがよく分かりました。

最後に、絵本制作には人生を重ねることによって見えてくるものがあるとのお話もあり、私にとってこれから長い人生をかけて作品を作り続ける上で希望になる大切な言葉となりました。

写真 2016-08-21 15 55 55.jpg写真 2016-08-21 16 00 15.jpg

▲ ページトップへ

ワークショップ 2016 TOP