第19回ピンポイント絵本コンペ審査結果(2018年)
入賞作および通過作品を発表いたします 応募数 204 作品

審査員 堀内日出登巳 いとうひろし 櫻井友貴 西須由紀

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はやしますみ

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応募数は昨年と比べて微減したものの、今年はかなり時間の掛かる審査となりました。じっくり時間を掛けて応募作品全部を読み込んだ審査員たちが、それぞれの意見をぶつけ合いながら進み、最優秀賞には全員一致で太鼓判を押した「誰が読んでも面白い!」作品を選出することができました。他の入賞作品は、絵本としての完成度だけでなく、キラリと光るセンスの良さやアイデアの独創性などをみながら総合的に点数の高いものが選ばれています。
受賞展は7月2日から3週間に渡り開催いたします。是非ご高覧ください。また8月には応募作品の講評をメインとした夏のワークショップを予定しております。審査員と直に話ができる良い機会です。また自分の作品だけではなく他の応募作品の講評も聞けるので、様々な意見を参考にしながら、自分の作品の反省点や課題などを探してみてください。詳細は5月下旬に発表いたします。奮ってご参加ください。

通過作品(1次通過〜3次通過まで掲載しています)

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今回の入選入賞作は、それぞれに独自の世界を作り出しているという点で、高く評価することができました。中でも最優秀賞『じゃんけんぽんのともだち』のユーモラスでユニークな作品世界には、圧倒的な迫力を感じました。
また、他の応募作のいくつかは、表面的には高い完成度を持ち、一見このまま出版できるのではと思わせる程でした。しかし、それらの作品は最終的な選考に残ることができませんでした。それに反して、入選入賞作は、どこかしらに欠点を指摘されたものがほとんどでしたが、それを差し引いて余りある魅力がありました。このことは、絵本の本質的な魅力は表面的な創作のテクニックから生まれてくるものではない、ということを物語っているのではないでしょうか。
表面的な作品世界の向こうから、そっと語りかけてくることで、私たちの物の見方、感じ方に小さな変化を生み出してくれる絵本。そんな絵本の魅力は、ひとりの作り手として伝えるべきものは何であるかを、自分に問い続けるところから生まれてくるのだと思います。(いとう ひろし)

3回目の審査。過去の2回に比べても、絵本の形になっている作品は多い印象だった。全体的にレベルアップしている反面、強烈な個性を感じる作品が減ったのが惜しい。大賞『じゃんけんぽんのともだち』は、ゆるくてばかばかしい逸品。一点を打ち抜く発想、機知に富んだ構成は見事だった。優秀賞『ぼくのひ』『みずうみ』は、いずれも自分の世界に深く潜り込んだ良作。だが、それぞれ決定的なワンシーンを取り逃している気がしてならない。考える、描く以前に、見つける作業を大切に。受賞を逃した方は、ぜひ7月にある受賞者展を見てほしい。なにが違うか、なにが必要か、自分の置かれている位置がわかるはず。8月には審査員が講師を務めるワークショップもある。できれば複数の参加をすすめたい。共通して課題に挙げる部分、見方が違う部分、さまざまな視点を取り入れ、絵本を客観視してほしい。なお、選外だが『じてんしゃがいっぱい』を個人推し。(堀内 日出登巳)

大賞『じゃんけんぽんのともだち』は、「手の形」を独自の視点で捉えて生み出した個性的なキャラクター、またそれを存分に活かした見事な構成に「してやられた!」と思いつつ、笑顔で満票決定。優秀賞は読み手の感受性を大いに刺激してくれる2作品が受賞。『みずうみ』は無声映画のような不思議な世界と他にない印象深い表現に魅せられた。『ぼくのひ』は火をおこすという地味な題材をいきいきとした少年の表情を通して描ききった力作。入賞『どうしてパパとけっこんしたの?』は、極力シンプルに描いた動物にその理由を語らせることで、結婚という難しいテーマを絵本として巧みに成立させていた。同入選『ふしぎなよる』は柔らかなユーモアが心地よく、豊かな表現力で描かれた原画が素晴らしい。同入選『あ~もうっ!』は一貫してカメとエサに焦点をあてた意欲作。今後、作風とどう向き合っていくか期待したい。選外だが『おとうふやさんのおはなし』も審査員の間で話題にのぼった。(櫻井 友貴)

今年の作品数も200を超え、前回の作品をブラッシュアップしたもの、ワークショップで得たヒントを形に代えたもの、様々な工夫を凝らした多様な表現がありました。オリジナルの創作は何より貴重なものです。しかし好きな絵本に似過ぎてしまい、どこか既視感のあるものは、作品を台無しにしてしまいます。アイディアもテキストも構成も絵も唯一無二のものが魅力を放ちます。また意外におろそかになっているところが、表紙とタイトル。読者にとっては、一番最初の窓口になるのですから、絵本の肝とも言えます。タイトルで結末がわかってしまっては、犯人を知りながらミステリーを読むようなものです。表紙が無味ではページを開く気にもなりません。読者の興味をぐいっと引っ張れる最高の表紙とタイトルが必須ですね。来年は絵本コンペ20回目を迎えます。多くの絵本作家が生まれ、コンペも成長してきました。今後もその作家活動をじっくりと応援してゆきたいと考えます。(西須 由紀)

IMG_9730.jpg最終選考

IMG_9743.jpgIMG_9735.jpg堀内日出登巳さん

IMG_9746.jpgいとうひろしさん

IMG_9750.jpg櫻井友貴さん