第17回ピンポイント絵本コンペ審査結果(2016年)
入賞作および通過作品を発表いたします。

審査員 中川ひろたか 堀内日出登巳 若月眞知子 西須由紀
応募数 240 作品....

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本年度は前年度を大幅に上回る応募をいただきました。多数の応募ですが、審査員は全作品を丁寧に読み込んでいます。最終審査では、審査員それぞれの思惑が異なりながらも、慎重に審議を重ねて6作品が入選作として選出されました。
個性際立つ、バラエティに富んだ6作品の受賞展は、6月27日より7月16日まで開催されます。是非ご高覧ください。
また8月に、応募作品の講評等、夏のワークショップを予定しております。詳細は5月下旬に発表いたします。奮ってご参加ください。

通過作品(1次通過〜3次通過まで掲載しています)

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右より中川ひろたか、若月眞知子、堀内日出登巳、西須由紀

審査総評

中川ひろたか

『おっとあぶない!』進化論を横目に見ながら、危機を回避しながら適応、変貌していくカエル。迫力のある絵と、スピード感ある展開にグイグイ引きつけられながら、最後、なんかユーモラスな締め。2本足のカエルに、さらなる変貌の予感。ただ、子ども読者へは、工夫必要。
『ないたないた』酒井駒子を彷彿とさせる巧みな絵。だが、なぐさめてくれる月の表現に賛否あり。
『たたかう♡あんり』木の板に描かれた原画が、圧巻。ストーリーも軽いユーモアもあり、なんか泣ける。
『よみち』ボールペンでしょうか、細部にわたり「執念を感じた」審査員もいた。なかなかにグロテスクだが、それほどの害悪を感じさせない。
『ひとりぼっちのおおかみ』絵がすてき。動物たちもだが、背景の色使いが美しいと感じた。
『ここにいるよ』自由な線と、センスのいい色使いがおしゃれ。小さなつぶやきがいい。
選外だが『ぶーぶーおうじともぐぞう』『とおくのほうから』に1票。

堀内日出登巳

初めての審査は発見が多かった。まず、応募作に目を通して「全体のレベルが高い」そして「絵本で取り扱うモチーフ、テーマの幅が広がっている」という発見。大賞『おっとあぶない!』の設定の妙、CGのような透過性のある原画も新鮮な発見だった。受賞作以外にも気になる作品を発見した。世界観は良いものの展開に乏しい『まよなかの おだいどころ』。新味はなくても完成度は高い『やまにのぼりたいヒキガエルくん』。設定は魅力的でも話が平板『あんぱんほりにさそわれて』。秀逸なモチーフも消化不良『カーテンがごわっと』。鬼門のブラックユーモアに挑戦『ぼくの こまったこと』『ハンバーガー』。ほのかなブラックさとエンタメのセンスが光る『ぎょーざ』。ブラックユーモアやジョークを絵本に落とし込んだ作品をいくつか発見し、うれしくなった。なにより最大の発見は絵本作家を志す人たちの情念、執念、一部俗念。とにかく一途な思いを忘れずに、またつぎの創作に取り組んでほしい。発見は楽しい。

若月眞知子

入選作は、それぞれ個性ある6人が選ばれました。今回は絵の質が高く、キャリアのある立体作家、イラストレーター、デザイナーの方たちの参加が目立ちました。絵がよいだけに、お話をもうひと頑張りほしいと感じました。
入選外で気になったのは、岡崎さんの『お通と七兵衛』。和風バンドデシネかと引込まれて読みましたが、コマ割にしなくとも、大きな絵で表現できれば、絵本になる可能性はあると思いました。その際「子どもから読める」内容は絵本にとって大事な要素です。
よこみちさんは昨年に続き、社会的なテーマに挑戦していて好感が持てました。2作品のうち『かあさんといっしょだよ』に進化を感じました。あたたかな色づかいと2人女の子が出会うお話にほっと心がなごみました。
応募する方たちにアドバイスしたいのは、絵だけでなく、お話をしっかりとつくり込んでほしいこと、さらに、明快なタイトルと表紙は、書店店頭で大切なファクターです。

西須由紀

今年は、昨年より3割増の240もの応募数。一次選考は悩みどころの場面ばかり。以前であれば、当然一次通過となりそうな作品でさえ落ちてゆきます。絵本作家を目指す人たちの本気度が上がっている。苦しいやら、嬉しいやら。最終選考では、初審査でありながら冷静に論理的に絵本考を語る堀内氏、商業出版としての資質を備えているか否かの若月氏の判断に納得させられました。とことん、読者を楽しませたい中川氏は、見たことのないアイディアに、自由な発想に魅かれます。私はと言えば、好感度も大切な要素、最後の最後に「それでも私はこれが好き」と横紙破りの攻めを。和やかなうちにも、せめぎ合いを続け入賞作が決まりました。入選の田中多恵子さんは、10年前に『ひこーきばった』で入賞経験ありの2度目の祝杯。一段とブラッシュアップされた作品が評価されました。あきらめないこと、続けることの強さを再認識しました。

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